60歳代 男性

病院から、
アサコール錠(400mg x 9T)、ビオスリー配合散(1.0g x 3H)、ロペミンカプセル(1mg x 2cap)、コロネル細粒(1.2g x 3H)、イリボーOD錠(5μg x 1T)、ペンタサ坐剤(1.0g x 1)
が処方されている潰瘍性大腸炎の患者さんです。

下痢:3-7回/日(時々、血便あり)、腹痛:なし、発熱:なし
という状態で、漢方治療を始められました。

開始時期の糸練功による、処方解析は以下のとおりです。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

1)甘草瀉心湯 証
2)田七人參 証
3)安中散 証

順調に下痢の回数は減少(1回/3日)し、粘血便も見られなくなりました。

しかし、漢方治療開始より5ヵ月後、突如、下痢の回数が増加(8-12回/日)。
治まっていた血便も出現したのです。

不可思議です・・・異常な適応証 1)、2)、3)の合数は、確実に改善しているのです。
糸練功の合数は、漢方薬が適合している場合にのみ改善します。
ですから、突如の症状悪化は、“今までに無かった異常(適応証)が現れた”と考えられます。

先日、病院で行われたという「下部内視鏡 検査報告書」を拝見すると・・・。
「直腸(AV ~20cmまで)に連続性・びまん性のびらん・膿性付着物・浮腫・血管透見不良を認める」との記載・・・。
・・・“膿性付着物”という語句が、特に気になりました。

再度、糸練功によって第五腰椎下の「大腸の反応穴」を注意深く解析します。
ありました・・・新しい異常(適応証)・・・黄耆建中湯証です。

・・・6ヵ月後(黄耆建中湯を服用して、1ヵ月後
便通:2-5行/日 (下痢便:2-3回/日)
血便:消失。

・・・7ヵ月後(黄耆建中湯を服用して、2ヵ月後
便通:2-3行/日 (下痢便:1-2回/日)
血便:消失。
徐々に便が硬くなり、正常便に近づいています。

潰瘍性大腸炎は、なぜ難病といわれるのか?

潰瘍性大腸炎は、原因不明で完治させる事が困難な“難病”に指定されています。
なぜ難病といわれているのか?・・・。

潰瘍性大腸炎の患者さんと、漢方治療を通じて感じていることです。
それは、「幾つもの異常(適応証)が、突発的に現れ、複雑に交錯するから」かも知れません。

黄耆建中湯は、分泌液の多い化膿性疾患に応用されます。
病院の内視鏡検査が、処方の探索に大きなヒントになりました。

ありがとうございます。