動悸めまい(眩暈)に苦しむ方の中で、病院で検査をしても“原因不明”・・・つまり原因を特定できないケースがあります。
心臓にも、三半規管にも異常が無い・・・しかし、動悸がして落ち着かない。
天井がグルグル回る回転性の眩暈・・・頭痛、吐き気、嘔吐を訴えられる方もおられます。

原因が特定できない動悸、めまい・・・しかし、漢方の世界では患者さんを正確に解析すれば、治療は可能です。
今回は、その改善症例をご紹介しましょう。

60歳代後半 女性
3年前より、胸の違和感とともに動悸が頻繁に起こるようになりました。
動悸は、神経的な要因によって激しくなり、ご本人曰く “ソワソワして落ち着かない” とおっしゃいます。
病院で検査をしていただきましたが、“異常はありません”とのこと・・・。
抗不安薬が処方されました。

同時期より、頭痛を伴う回転性めまい(眩暈)を発症されています。
症状が激しい時には、嘔吐することもあるそうです。
困り果てた患者さんは、漢方治療を頼りに来局されました。

一連の症状を伺った後、糸練功にて患者さんの反応穴を確認、適合処方を解析しました。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

解析結果は以下のとおりです。

A証) 半夏厚朴湯合茯苓飲 【動悸】
B証) 桂枝人参湯 【めまい】
K証) 桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子 【第五頸椎】

この解析結果は、
動悸には、漢方薬【半夏厚朴湯合茯苓飲】の適応。
めまいに関しては、漢方薬【桂枝人参湯】の適応。
そして、第五頸椎の異常への、【桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子】の適応。

それらの異常(病態)が、患者さんの身体に存在していることを示しています。
つまり、上記の3処方を服用することで、症状を改善できるわけです。

ここで、「第五頸椎の治療は、どうして必要なの?」と、疑問に思われる方がおられるでしょう。
第五頸椎の異常は、様々な神経症状を引き起こします。
もし、第五頸椎に異常がある場合、その異常を放置したまま治療をしても、症状は完全に消失しません。
ですから、第五頸椎に異常があれば、その適合処方は必須となるのです。

早速、漢方治療の開始です。

・・・1ヵ月後
動悸 : 減少 (改善中)
めまい : 消失 (改善中)
胸の違和感は、服用開始から 2週間で消失

・・・3ヵ月後
動悸 : ほぼ消失
めまい : 消失

・・・5ヵ月後
動悸 : 消失
めまい : 消失

引き続き、漢方治療を継続中です。