蕁麻疹の多くは、原因の特定が難しいといわれています。
ことに、慢性蕁麻疹でお悩みの方は、痒みによる睡眠障害などで、生活の質の低下が危惧されます。

ちなみに、ネット検索すると、十味敗毒湯、消風散、茵陳五苓散、葛根湯・・・などなど、蕁麻疹に適用される漢方処方が掲載されています。
ですが、専門職でない限り、ネットの知識だけに頼って漢方薬を購入することは、お勧めしません。

現代医学的にも、漢方医学的にも、蕁麻疹の病態は、かなり複雑です。
特に慢性化した蕁麻疹は、単一処方で対応できるケースは多くありません。

ここでは、発症から6年以上経過した、慢性蕁麻疹の症例をご紹介しましょう。

40歳代 男性

10歳代から、肌が弱く、アレルギー性の蕁麻疹を幾度も発症されいます。
当時は、医師による投薬と”青魚、豚肉を控える”等の指導のおかげで、症状は落ち着いていたそうです。

ところが、30歳代後半の頃から蕁麻疹が頻発したそうです。
全身が痒く、特に就寝時には痒みが激しく、”眠れない”とお嘆きでした。

アレルギー性鼻炎と、慢性頭痛の既往をお持ちの方でもあります。

当薬局は、糸練功(しれんこう)という技術を用いて病態を分析しています。
個々の患者さんに適合する漢方薬を探索する手法です。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

患者さんの患部と、皮膚病反応穴の解析結果は、以下のとおりです。

A証) 葛根湯合R青皮製剤 (陽証)
B証) U山査子製剤 (陽証)

A証)は、発症から経過の浅い、急性(亜急性)の病態への適応。
B証)は、肝臓の解毒機能を高めるための適応。

これは、糸練功による解析で、患者さんの蕁麻疹を、2つの誘因(病態)に分析できたことを意味します。

早速、漢方治療の開始です。

・・・0ヵ月後
全身の痒み : 激しい
頭痛 : あり

痒みによる睡眠障害が顕著

・・・1ヵ月後
全身の痒み : 軽減 (改善中)
頭痛 : ほぼ消失 (改善中)

痒みによる睡眠障害も減少

引き続き、漢方治療を継続中です。

蕁麻疹に限らず、漢方薬で疾患を治そうとする場合、大切なことは、患者さんの病態に適合する漢方薬を識別することです。
糸練功という技術の応用で、正確な処方選択が可能になります。

糸練功を御教授いただいた木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ、衷心より感謝いたします。