難治性便秘症

60歳代、女性。

平成20年5月 初来局。

長年、便秘症で悩まれておられるご婦人からの御依頼。

御本人曰く、「生まれつきの便秘症」だとのこと。

過去に 御自身の「大腸ポリープ」が幾度と発見され、その都度 摘出術をされた経緯あり。

また、親御様が大腸がんを患われたこともあり ことのほか便通に気遣われておられる。
幾度も市販の下剤を服用するが、腹痛を伴う下痢となり、「決して気持ちの良いお通じにはならなかった」とのこと。

その後、病院から整腸剤を処方される。
しかし、それでも「スッキリ出ない」と、漢方治療を要望された。

問診の後、大腸の反応穴(はんのうけつ)を 糸練功(しれんこう)にて解析する。

(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
大腸の反応穴

0.5合臓腑病陽証麻子仁丸証

症状
便通(甚だしく不良)
便は硬くスッキリした便通なし


1ヵ月後
大腸の反応穴

1.6合臓腑病陽証麻子仁丸証

症状
便通(良好)

便の状態は良好、快便となる

現在も、同処方を継続中


結語

便秘というと、「○○漢方便秘薬」を連想する方もおられるでしょう。

しかし、便秘の型(タイプ)は多様です。

腸管に熱があるタイプ、
腸管が冷えているタイプ、
蠕動運動が低下しているタイプ、
神経性タイプ・・・
血行障害タイプ・・・まだまだ・・・。

本来、漢方薬は一人ひとりの患者さんに合わせて選ぶものです。

「漢方薬だから安全」という都市伝説には、何の根拠もありません。

腸管が冷えている便秘に、強めの(清熱性の)下剤を適用すれば、腹痛・酷い下痢を起こして衰弱してしまいます。
彼女が市販の下剤を服用後、散々な結果となったのも「合わない薬」を選択したためです。

さて、患者さんの便秘症には「麻子仁丸(ましにんがん)」という漢方薬が効いています。
一見して、簡単な選薬作業と思われるでしょう??
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。

漢方薬は 患者さんに適合して 始めて効果を発揮します。
適合しない漢方薬は効きません。
漢方治療の命は、適合性を見抜く過程です。

いかに適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。

便秘であれば、大腸の反応穴に 必ず磁場の乱れ(情報)が現われます。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を検証する技術が糸練功です。

適合処方の割り出し作業は 手間がかかります。
ですので、新規の患者さんには じっくり時間をかけて問診し、糸練功による情報解析をします。
(完全予約制の理由です)

そして、  麻子仁丸(ましにんがん)証 の、確証を得たのです。

・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。
つまり、患者さんの便秘には「麻子仁丸がピッタリ適合する」ことを意味します。

適合する漢方処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
患者さんの自然治癒力がめざめ、正常化作業が始まります。

現実に、長年、便秘で苦しんだ患者さんに心地よい便通が訪れた事実は、 麻子仁丸が患者さんへ適合している証明でもあります。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論は、木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)が構築され、その技法は 伝統漢方研究会で御教授いただきました。

木下先生はじめ、研究会の先生方へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
 麻子仁丸
(ましにんがん)
 丸剤10,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります