人間の骨量は、成長期(18歳頃)をMAXとして、経年とともに徐々に減少します。
男性の骨量の減少率は緩やかですが、女性は閉経を迎えると急激に骨量が低下する傾向があります。
その結果として骨が脆くなり、骨折しやすくなります・・・骨粗鬆症です。
慢性 腰痛で、当薬局を訪れる多くの方は、60歳以上の女性です。
その患者さん達を、漢方的に解析すると、ある共通性に気づきます。
それは、骨粗鬆症の暗示です。
60歳代 女性
3年前より腰痛を発症されました。
腰椎(4-5番)と、臀部(左右)の痛みで、整形外科に通院。
レントゲン検査をしていただきましたが、“腰椎の異常なし”とのこと・・・。
湿布と消炎鎮痛剤が処方されました。
その後、症状は一進一退・・・そして、当薬局へ漢方治療を依頼されました。
痛みは、椅座位の姿勢をとると悪化・・・待合室ではソファーに座ることができず、起立したままでした。
当薬局は、糸練功(しれんこう)という技術を用いて病態を分析しています。
個々の患者さんに適合する漢方薬を探索する手法です。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
患者さんの患部(腰椎・臀部)の解析結果は、以下のとおりです。
A証) 防已黄耆湯合桂枝加朮附湯 (陰証)
B証) 防已黄耆湯合R青皮製剤 (陽証)
レントゲン検査では、“腰椎の異常なし”とのことでした。
ですが、A証)、B証)は、ともに骨粗鬆症を背景とする病態へ適用されることが多いのです。
陽証のB証)は、発症から経過の浅い、急性(亜急性)の病態への適応。
陰証のA証)は、発症から何年も経過した、慢性的な病態への適応。
これは、糸練功による解析で患者さんの腰痛を、2つの誘因(病態)に分析したことを意味します。
早速、漢方治療の開始です。
・・・1ヵ月後
腰痛 : ほぼ消失
臀部痛 : 軽減(改善中)
・・・3ヵ月後
腰痛 : 消失
臀部痛 : ほぼ消失
臀部は軽く痛みますが、相談中は椅子に座っておられます。
引き続き、漢方治療を継続中です。