副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎の併発例 20歳代 男性
平成20年5月 初来局。
5年前、粘った鼻汁・強度の鼻閉(鼻づまり)があらわれる。
鼻の付け根には熱感があり、鼻汁は黄色く 臭気がある。
臭覚障害も顕著で、この数年間は 料理の臭いが全く判らず。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と診断されるケースは、アレルギー性鼻炎を併発していることも少なくない。
よって、問診の後に 副鼻腔(蓄膿症)と、右迎香(アレルギー性鼻炎の反応穴)を 糸練功(しれんこう)にて確認・分析する。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
治療経過
0ヵ月後
副鼻腔、右迎香の反応
副鼻腔 | -0.1合 | 臓腑病 | 胆 | 陽証 | 荊芥連翹湯加辛夷 |
右迎香 | 0合 | 臓腑病 | 脾 | 陽証 | N・スクアレン製剤 |
症状
鼻づまり(強い)、鼻汁(黄色・粘りあり)、臭覚(全く判らず)
食養生として、もち米の摂取を制限
1ヵ月後
副鼻腔、右迎香の反応
副鼻腔 | 1.0合 | 臓腑病 | 胆 | 陽証 | 荊芥連翹湯加辛夷 |
右迎香 | 1.2合 | 臓腑病 | 脾 | 陽証 | N・スクアレン製剤 |
症状
鼻づまり(軽度)、鼻汁(透明・少量)、臭覚(判別可能)
7ヵ月後
副鼻腔、右迎香の反応
副鼻腔 | 8.2合 | 臓腑病 | 胆 | 陽証 | 荊芥連翹湯加辛夷 |
右迎香 | 7.5合 | 臓腑病 | 脾 | 陽証 | N・スクアレン製剤 |
症状
鼻づまり(消失)、鼻汁(消失)、臭覚(良好)
この後、御自身で漢方治療を終了した模様。
結語
漢方薬を服用して 3ヶ月後には患者さんの臭覚は正常化していました。
「何年も料理の香りが判らなかった頃とは、比べ物にならないほど食事が美味しい」
と、患者さんの声は本当に嬉しそうでした。
ここでの漢方治療では、「もち米の摂取制限」は大きな鍵です。
「餅が大好きな彼」でしたが、漢方治療の開始からキッパリと餅を絶っています。
その甲斐あって、経過はとても良好で毎月のチェックが楽しみでした。
今回のケースは 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)+アレルギー性鼻炎の併発例と思われます。
なぜなら、
1)副鼻腔の治療ポイント→ 荊芥連翹湯加辛夷(証しょう)
2)アレルギー性鼻炎の治療ポイント→ N・スクアレン製剤(証しょう)
の2証を、解析したからです。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の方には、花粉症などのアレルギー性鼻炎を併発されているケースがよくあります。
その場合、副鼻腔炎だけを治療しただけでは鼻症状は良くなりません。
必ず、蓄膿症とアレルギー性鼻炎の両方の治療が必須です。
ここで述べている 治療ポイントは、「証しょう」といって患者さんの病態に適合する治療法のことを指します。
通常の医療現場では、効きそうな薬を 実際に患者さんに服用してもらって効けば OK!
不幸にして、効かなかったら、異なる次の候補薬を選びますね。
これが、漢方治療ではもっと複雑になります。
なぜなら、漢方薬は 患者さんに適合させて効かせます。
適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。
どのように適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の場合、患部や一定のツボ(反応穴)に 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、検証する技術が糸練功です。
患者さんへ漢方薬の検体を近づけて、異常磁場への影響を検証します。
実際に薬を服用しなくても、薬の適・不適が判別できる検証方法です。
但し、新規の患者さんには けっこう時間がかかります。
(ですから、当薬局は完全予約制です)
そして、
1.荊芥連翹湯加辛夷(けいがいれんぎょうとうかしんい)証
2.N・スクアレン製剤(N・すくあれんせいざい)証
の、検証結果を割り出しました。
・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。
つまり、相談の過程で「患者さんの慢性副鼻腔炎と、アレルギー性鼻炎は、荊芥連翹湯加辛夷、N・スクアレン製剤で治せる確証」を把握したわけです。
この検証方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬を知ることができます。
無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代が省けるのです。
適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
眠っていた自然治癒力がめざめ、患者さん御自身の修復作業が始まります。
現実に、患者さんが治っている事実は 漢方薬が適合していることの証明です。
「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。
糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。
必要となった漢方薬の料金
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
荊芥連翹湯加辛夷 | 煎じ薬+散剤 | 14,000円 (税別) |
N・スクアレン製剤 | カプセル剤 | 18,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります