蓄膿症(慢性副鼻腔炎) 鼻づまり・粘った灰色の鼻汁
眩暈(めまい)と、頭痛の漢方治療に通われている御婦人が問われた。
「蓄膿症(ちくのうしょう)も漢方薬で治せますか?」
ご本人の眩暈・頭痛が改善され、効果を実感してくださったのだろう。
11歳のご子息の「蓄膿症(慢性副鼻腔炎)を治しあげたい」親心だった。
「ご本人が、『苦い薬でも、飲んで治す』という気持ちがあれば・・・」と、伝えた。
翌日、ご婦人から「苦くても、飲んで治したいそうです」とのご依頼。
主な症状は、鼻がつまり、灰色の粘った鼻汁である。
蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の方は、アレルギー性鼻炎を併発していることが多い。
上下の副鼻腔と、鼻炎の反応穴(はんのうけつ)を、糸練功(しれんこう)にて確認。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
その解析結果は・・・
● 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)証
● 四逆散(しぎゃくさん)証
2つの証が、副鼻腔から低い合数で確認された。
幸いなことにアレルギー性鼻炎の反応は認められなかった。
食養生として、 もち米を禁じ、白砂糖と油物、乳製品の摂取を制限するよう伝え、荊芥連翹湯と四逆散を調剤した。
・・・1ヵ月後
鼻の通りは良くなり、灰色の鼻汁は減少していた。
合数も順調に上昇している。
風邪をひくと、一時的に症状は悪化するが、半年後にはすっかり鼻汁は止まっていた。
・・・14ヵ月後
合数は10合で安定し、風邪をひいても、灰色の鼻汁はでてこない。
漢方治療の完了を告げた。
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
実践漢方のコメント
蓄膿症(慢性副鼻腔炎)への漢方治療による一例です。
お母様の、眩暈・頭痛も治り、お子さんの蓄膿症も完治して嬉しい限りです。
ここで、漢方薬の知識がある方は不思議に思われるかも知れません。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を、蓄膿症の治療に使うのは解るけど、 何で四逆散(しぎゃくさん)を使うのよ? なぜ?
・・・そうです。
四逆散は通常、胃炎やストレス性のお病気に使われます。
ネットで調べると適応症は、「胆のう炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、気管支炎」の記載があり、どこにも「蓄膿症に用いる」とは書かれていません。
そこが、漢方医学の奥深さです。
本来の漢方治療は、患者さんに合わせて処方を組み立てます。
決して、病名に合わせるものではありません。
「患者さんの身体は、どの漢方薬を欲しているか?」
その見極めが漢方治療の命です。
お子様の副鼻腔の情報は、糸練功という技術によって、荊芥連翹湯証と、四逆散証に解析されました。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
四逆散証とは、四逆散が適応する治療ポイントを意味します。
言い換えれば、四逆散を服用しないと、治せない病態です。
ですので、本症例は、効能書きに頼っても治せない実例です。
糸練功は、生体の情報(症状)を 客観的に分析し、適合薬を誘導する技術です。
一人でも多くの先生方が、糸練功を活用することを祈念してやみません。
必要となった漢方薬の料金
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(11歳:30日分) |
荊芥連翹湯 | 散薬 | 9,000円 (税別) |
四逆散 | 散薬 | 9,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります