前立腺肥大症(下腹部違和感・排尿障害)

60歳代、男性。

平成19年10月 初来局。

数年前より、排尿が細くなり 「前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)」 と診断される。
組織検査をしてもらうが、結果は良性とのこと。

●尿の出かたは、チョロチョロと勢いがない。
●排尿した後でも残尿感がある。
●下腹部(膀胱のあたり)が張る感じがする。
●就寝後の排尿回数は、2~4回。

などの症状で、病院より「抗男性ホルモン剤」の投与を受けていた。

テレビCMの影響で 漢方薬を購入して服用したが効果はなく、当薬局へ漢方治療の依頼に至る。

問診の後、前立腺の反応穴(はんのうけつ)と、膀胱部を 糸練功(しれんこう)にて確認・分析する。

(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
前立腺の反応穴、膀胱部の反応

-0.1合臓腑病陰証牛車腎気丸

症状
排尿(勢いなし)、残尿感(あり)、就寝後の排尿(2~4回)、下腹部の違和感(あり)
尿の出は細く、排尿後は下着を汚す


1ヵ月後
前立腺の反応穴、膀胱部の反応

1.2合臓腑病陰証牛車腎気丸

症状
排尿(勢いがでてくる)、残尿感(軽度)、就寝後の排尿(1~2回)、下腹部の違和感(消失)
排尿に勢いがつき始め、排尿後の下着の汚れはない


5ヵ月後
前立腺の反応穴、膀胱部の反応

6.0合臓腑病陰証牛車腎気丸

症状
排尿(勢い良好)、残尿感(消失)、就寝後の排尿(0~1回)、下腹部の違和感(消失)
排尿の勢いは良好、残尿感は完全消失
冬季でも、夜間尿は 0~1回

現在も、漢方治療を継続中


結語

前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)への漢方治療の一例です。

経過は至って良好で、病院での 超音波エコー検査、PSA血液検査(前立腺癌腫瘍マーカー)等の結果も、すべて正常値です。

発症より、かなりの年数を経過してからの漢方治療でしたが、良好な回復スピードです。
一般的な前立腺肥大症の場合、発症から経年を重ねると 2種以上の漢方薬を要するケースがほとんどです。
そんな中、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」の単独処方で対応できたことは非常に幸運です。

さて、患者さんの前立腺肥大症による排尿障害には、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」という漢方薬が著効しています。

一見、簡単な漢方治療と感じるかも知れません・・・。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。

通常の医療現場では、効きそうな薬を、服用していただいて、効けば OK!
効かなかったら、別の候補薬を選びますね。

これが、漢方治療ではもっと複雑になります。
なぜなら、漢方薬を 患者さんにピッタリ適合させなければなりません。
適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。

どのように適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。

前立腺肥大症では、膀胱部や前立腺の反応穴に 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を知る技術が糸練功です。

患者さんの臓腑・經絡の状態を分析し、薬の検体を生体へ近づけ、異常磁場の変化を確認します。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

そして、
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)証が誘導されました。

・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気を意味します。

つまり、相談の過程で「牛車腎気丸で治せる確証」を得たことになります。

この方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が判ります。
ですから、無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代を省けるのです。

適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力が目覚め、患者さん御自身の細胞が自己修復を始めます。

現実に、患者さんが治っている事実は 漢方薬が適合している証明でもあります。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実現するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
牛車腎気丸煎じ薬15,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります