胃アトニー(胸焼け・胃の重圧感・食欲減退)
更年期障害による神経症状と、足の冷えを治療中のご婦人。
おおむね改善されて、完治まであと一歩という時期だった。
「この頃、胸やけがして食欲がないんです」
「・・・特に血圧の薬を飲むと、胃が重くなって」
病院より、降圧剤・プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌を抑制する薬)が処方されているのは承知していた・・・。
「しかし、なぜ急に??」
問診後、糸練功(しれんこう)にて、背部から胃の反応を確認・解析した。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
反応は確かに異常だった!
それも極めて低い合数に、慢性化した治療ポイント(病態)が認められた!
これでは、大変お辛いだろうと察した。
解析結果は・・・
● 安中散加茯苓(あんちゅうさんかぶくりょう)証
この証は、甘味のとりすぎで悪化する特徴がある。
「甘い物をとりすぎていないか?」と問うた。
「体重を増やそうと、チョコレートを毎日食べています」 との答え・・・。
( ̄▽ ̄;)!!ガーン
砂糖摂取を制限するよう伝え、安中散加茯苓の服用を開始する。
1週間後
あの「甘党のご婦人」から電話があった・・・。
声は明るかった。
「降圧剤を飲んでも胃がもたれなくなって、食欲がでてきた」とのこと。
その後も、順調に改善している。
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
考察
「胃アトニー(胸焼け・食欲減退)」 への漢方治療による一例です。
御婦人は平素より胃弱で、家庭内の心配事を機に、体重が急激に減少したことがあります。
体重が減ったことを気にかけて、それを補おうとチョコレートを毎日食べていたのです・・・。
安中散系の適応者は、甘いものを控えなければなりません。
さて、「なぜ薬を飲む前に、患者さんが安中散加茯苓で治るのが判るの?」
と不思議に思いませんか?
たしかに、お病気ごとに、治療候補の漢方処方は無数に存在します。
しかし、漢方薬は患者さんにピッタリ適合しないと、効きません。
そこで、糸練功(しれんこう)という技術が強い味方になってくれます。
患者さんが症状を訴える部位からは、磁力などの強い情報が出ています。
糸練功を応用して、その情報がどの臓腑・經絡の異常からきているのかを分析し、数百種類の候補から、適合性の高い漢方薬を絞り込めます。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
最終的に「それが実際に効くのか?」の確認は、患者さんに漢方薬の標本を近づけます。
生体はそれが適合していると、異常反応を消失する性質を持っています。
それが、患者さんの身体が欲している物(薬)だからです。
異常が消えなければ、消失する処方(適合薬方)が見つかるまで照合を繰り返します。
そうです、糸練功は生体反応を応用した技術です。
多くの先生に、糸練功の関心が広まることを祈念してやみません。
治療に要した漢方薬と費用
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
安中散加茯苓 | 散薬 | 11,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります