チョコレート嚢胞(子宮内膜症)と月経痛
20歳代(女性)、平成17年6月に初来局。
月経時の腰痛、下腹部痛と頭痛が徐々に激化し、婦人科を受診すると、「子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)」と診断されたという。
右卵巣のチョコレート嚢胞も指摘され、同行されたお母様は深刻な面持ちだった。
特に、月経痛(下腹部痛・腰痛)は激しく、耐え難いと訴えられる。
病院から、ホルモン療法(6ヶ月間の偽閉経療法)の勧めはあった。
が、可能であれば避けたいとのこと。
そして、藁をもすがる思いで、漢方治療の依頼に至る。
問診の後、糸練功(しれんこう)にて
1)月経痛の反応穴
2)子宮と卵巣の反応(身体に触れない状態で)
を確認し、適合処方を解析。
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
治療経過
0ヵ月後
月経痛の反応穴、子宮・卵巣の反応
| -0.5合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 甲字湯加黄ゴン紅花 |
| 0合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
月経痛(激しい)、頭痛(強い)
月経時の下腹部痛・腰痛が非常に辛い
2ヵ月後
月経痛の反応穴、子宮・卵巣の反応
| 1.4合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 甲字湯加黄ゴン紅花 |
| 2.1合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
月経痛(軽度)、頭痛(消失)
月経時の下腹部痛・腰痛は軽く、頭痛は消失
13ヵ月後
月経痛の反応穴、子宮・卵巣の反応
| 7.6合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 甲字湯加黄ゴン紅花 |
| 8.4合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
月経痛(消失)、頭痛(消失)
月経時の下腹部痛・腰痛は、すでに消失
婦人科にて検査 ⇒ チョコレート嚢胞(子宮内膜症)は、完全消失
20ヵ月後
婦人科にて再検査
→ 「全く問題なし」と診断され、自ら漢方治療を終了した模様
29ヵ月後
「妊娠しました。6週目です。」 との連絡あり
結語
現代医学における、子宮内膜症の治療方法には、手術療法と薬物療法があります。
同行されたお母様の深刻な表情が、今でも思い出されます。
患者さんは、まだ二十歳代前半の若い女性です。
6ヵ月間の偽閉経療法を勧められたのですが、「漢方で治したい」とのご依頼でした。
当薬局は、患者さんの体質・病態・治療法を、糸練功(しれんこう)という技術を応用して解析しています。
人体の異常な部位には、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を組み立てる技術が糸練功です。
問診と合わせて 約60分の時間をかけて、患者さんの臓腑・經絡を解析します。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
すると、
1.甲字湯加黄ゴン紅花(こうじとうかおうごんこうか)証
2.当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)証
の、2つの適応症が確認できました。
・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。
つまり、「甲字湯加黄ゴン紅花と、当帰建中湯で治せる子宮内膜症である」ことを確認したわけです。
適合処方が解れば、後は患者さんの自然治癒力に任せるだけ。
患者さん御自身の細胞が、自己修復を始めます。
実際に、子宮内膜症・チョコレート嚢胞が完全消失したことは、漢方薬が、患者さんに適合していた証です。
「漢方的に病態を把握し、正確な処方選択を実践する」
糸練功は、そのための技術です。
糸練功の理論を構築し、御教授いただいた木下順一朗先生へ感謝の念に堪えません。
必要となった漢方薬の料金
| 漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
| 甲字湯加黄ゴン紅花 | 散剤 | 12,000円 (税別) |
| 当帰建中湯 | 煎じ藥 | 14,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります





