かつて、日本人には少なかった“潰瘍性大腸炎”の罹患率は、食の欧米化にともない増加傾向にあります。
潰瘍性大腸炎は、特定疾患・・・いわゆる“難病”とされています。
潰瘍性大腸炎の好発年齢は、20歳代ですが当薬局の若年層は多くありません。
ここでご紹介する患者さん(男性)の発症年齢は、56歳でした。

病院から、
アサコール錠(400mg x 9T)、ビオスリー配合散(1.0g x 3H)、ロペミンカプセル(1mg x 2cap)、コロネル細粒(1.2g x 3H)、イリボーOD錠(5μg x 1T)、ペンタサ坐剤(1.0g x 1)
が処方されています。

下痢:3-7行/日(時々、血便あり)、腹痛:なし、発熱:なし
という状態でした。

問診の後、糸練功による漢方解析にて、

  1. 甘草瀉心湯
  2. 田七人參
  3. 安中散

の適合性を確認しました。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

そして、漢方治療を開始。

・・・3ヵ月後
下痢:1行/3日(血便なし)、腹痛:なし、発熱:なし
血便は消失。
下痢の回数は、3日に1回へ減少・・・順調でした。

・・・5ヵ月後
症状が再燃・・・。
下痢:8-12行/日(時々、血便あり)、腹痛:なし、発熱:なし、疲労感:あり

糸練功にて、注意深く大腸の反応を確認すると、新たな適応が解析されました。
処方名は、“黄耆建中湯”。

・・・6ヵ月後
下痢:2-3行/日(血便なし)、腹痛:なし、発熱:なし、疲労感:なし
血便は消失。
下痢の回数は、1日に2-3回へ減少中。

現在も、漢方薬を服用中です。

当初、血便も消失し、下痢も順調に減少しており、「このまま治ってしまうだろう」と安堵しておりました。
しかし、突如、今までになかった適応症が(新たな病態)現れ、患者さんが激しい下痢に見舞われた時・・・
潰瘍性大腸炎が、難病とされる「特定疾患」であることを痛感させられました。

ですが、糸練功という技術のお陰で、新たな適応症も改善中です。
あらためて、糸練功を御教授いただいた木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)に感謝申し上げます。