40歳代前半、男性。
8年前より、肩甲骨間の違和感(凝り)を感じてはいましたが、そのまま放置。
ところが、半年前より 左肩の痛み・左前腕の痺れ・左手指の麻痺(温感なし)が次々に出現。
専門医から、頚部脊柱管狭窄症と診断されたそうです。
リリカ・カプセル 50mg/Day、 エペリゾン塩酸塩錠 150mg/Day、メコバラミン錠 1.5mg/Day
が処方され、痛みは少し軽減されたようです。
患者さんは、積極的に、カイロ・指圧治療にも臨まれています。
しかし、残存する“強烈な凝り”に憔悴されて、不眠傾向にありました。
患者さん曰く、
“表面の凝りは楽になったが、奥の凝りが全くとれない・・・”
“痛みは軽いが、〝痛い〟という信号は腦に届いている感じ・・・”と、症状を語られました。
ドクターは、リリカ・カプセル 75mg/Day に増量してくれました・・・しかし、“頑固な凝りは、残存したまま”とのこと。
患者さんは数年前、乗車時にトラックに追突された経験もお持ちです。
追突事故の影響が、本症状の引き金になった可能性は、非常に大きいと感じられました。
問診の後、糸練功にて頸椎を確認し、適合処方を模索しました。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
糸練功による解析結果は、以下のとおりです。
○ 第3、6頸椎の反応より
- K1証) 桂枝二越婢一湯加苓朮附証 (陰証)
- K2証) 桂枝一越婢二湯証 (陽証)
- K3証) 芍薬甘草湯証 (陰証)
これらを、漢方的に解釈すると・・・
陰証のK1)は、発症から何年も経過した、慢性的な病態への適応。
陽証のK2)は、発症から経過の浅い、急性(亜急性)の病態への適応。
陰証のK3)は、頸椎異常による、二次的な筋肉の拘縮への適応。
糸練功による解析で、患者さんの頚部脊柱管狭窄症が、3つの誘因(病態)に分析できたことを意味します。
即ち、桂枝二越婢一湯加苓朮附、桂枝一越婢二湯、芍薬甘草湯の3処方を服用することで、この脊柱管狭窄症は治せるのです。
(本症例では、K1証とK2証の成分重複を避けるため、K1証には「Buコウシンコウ製剤+B牡蠣製剤」を適用しています)
早速、漢方治療を開始しました。
・・・0ヵ月後
肩甲骨間 : 凝り(激しい)
左肩 : 凝り(激しい)
左前腕 : 痺れ(強い)
左手指 : 麻痺あり(温感なし)
・・・2ヵ月後
肩甲骨間 : 凝り(消失)
左肩 : 凝り(軽度)
左前腕 : 痺れ(消失)
左手指 : 麻痺なし(温感あり)
漢方治療の開始から、1ヶ月後には左前腕の痺れは消失。
寝付も良くなり、以前のような中途覚醒もありません。
引き続き、漢方治療を継続中です。