声 枯れ嗄声(させい)」の原因は、

1)風邪(急性上気道炎)
2)甲状腺の異常
3)声帯の酷使
4)精神的ストレス
5)逆流性食道炎

・・・などなど、多岐にわたります。

中でも、声帯の病変(炎症・浮腫)を伴うケースが多いように思われます。

風邪などの声帯の炎症による「声 枯れ」のほとんどは、風邪の治癒とともに治ってくれます。
しかしながら、不幸にも慢性化してしまう方もおられます。

12月(平成28年)に来局されたご婦人(30歳代後半)も、そのお一人でした。

「声 枯れ」の発症は、平成28年7月。

風邪の罹患をきっかけに、「声が枯れてきた」とのこと。
発熱も無く、軽い咳がでる程度の風邪だったそうです。
しかし次第に、咽喉の狭窄感(のどが狭くなった感じ)が強くなり、「声がかすれる」ように・・・。

彼女は、2年前にも風邪薬では治らない「声 枯れ」に、1年間お困りだった経験がおありです。

今回の「声 枯れ」の症状は、

朝方、咽喉には違和感がない

しかし、会話をしていると咽喉の違和感が強くなり

咽喉が痛くなる(ヒリヒリ)

頸部痛(首が痛くなる)

頭痛(頭部全体)

声 枯れ(咽喉の狭窄感を伴う)

という、サイクルを繰り返し、日々を送っておられました。

・・・
症状を詳しく伺った後、糸練功にて患者さんの反応穴を確認し、適合処方を解析しました。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

解析により誘導された適合処方は、以下のとおりです。

○愁訴部(声帯)と、風毒塊(ウイルス反応)の解析から

A証) 柴葛解肌湯(さいかつげきとう) 【声帯、風毒塊より】
B証) N・スクアレン(えぬ・すくあれん) 【声帯より】

これらの適合処方から、漢方的に病態を推測すると、

A証) 声帯と風毒塊の一致した【柴葛解肌湯】の適応は・・・慢性化した上気道炎による「声帯の炎症」の病態と考えられます。

B証) 声帯から誘導された【N・スクアレン】の適応は・・・炎症性ではない、精神的誘因による「咽喉の狭窄感」の病態と思われます。

上記の2つの適応(病態)が、患者さんの身体(声帯)に存在しているわけです。
つまり、患者さんの「声 枯れ」は、異なる2つの病態が交錯して引き起こしていることを意味しています。

適合処方が判明したら、早速、その日から漢方治療の開始です。

・・・0ヵ月後
声 枯れ : 強い
咽喉の狭窄感 : 強い
咽喉の痛み : 強い
頭痛 : 強い
頸部痛 : 強い

・・・1ヵ月後
声 枯れ : 軽度 (改善中)
咽喉の狭窄感 : 軽度 (改善中)
咽喉の痛み : 消失 (著効)
頭痛 : 消失 (著効)
頸部痛 : 軽度 (改善中)

漢方薬の服用を始めて、頸部の緊張が緩和するとともに、咽喉の痛み・頭痛は、2週間ほどで消失。

引き続き、漢方治療を継続し、声枯れ・咽喉の狭窄感も、順調に改善中です。