子宮内膜症は、重度な月経痛を伴うことが多いのですが、不妊症にも深い関連性があります。
不正出血に驚いて婦人科を受診したら、卵巣に”チョコレートのう胞”が見つかり、手術・・・。
その後、妊娠の機会に恵まれず、不妊治療に臨まれている方は、決して少なくありません。
今回は、漢方治療と凍結胚移植を両立されて、無事にお子様を出産された症例をご紹介します。
患者さんは、30歳代後半。
以前に、子宮内膜症による”チョコレートのう胞”を取り除く手術を受けられました。
その後も月経痛は酷く、結婚するまで「ディナゲスト」を服用されていました。
そして、御結婚を機会に、4年前から不妊治療を開始。
タイミング法、人工授精・・・。
医師の勧めにより、腹部の癒着剥離術と、子宮内ポリープ切除術を受けました。が、妊娠には至りませんでした。
1年前から不妊専門のクリニックへ転院して、3回の体外受精を行い、3回目で妊娠するも、流産・・・。
クリニックから、”子宮内膜症が重症”であると、リュープリン注射を4回受けました。
そのため、初回の来局時には生理はありませんでしたが、「今後は”凍結胚移植”を考えている」とのことでした。
当初の基礎体温表は、以下のとおりです。(リュープリン投薬前)
低温期が極めて不明瞭で、妊娠に至るまでの道のりは、相当な労力が必要かと思われました。
当薬局では、患者さんの不妊に関連すると思われる反応穴(はんのうけつ)を確認し、糸練功による漢方的解析を行いました。
(糸練功の技術的な要項は、専門家向けですが「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
解析結果は、以下のとおりです。
(○○証という表現は、○○という漢方薬で治療が成立する病態を示します)
A証) 甲字湯証 (陽証)
・・・・・・不妊・子宮内膜症への処方
B証) 甲字湯加減方証 (陽証)
・・・・・・不妊・子宮内膜症への処方
C証) N・スクアレン製剤証 (陰証)
・・・・・・子宮内膜症による卵管狭窄への処方
K証) 桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子証 (陰証)
・・・・・・第五頸椎の異常(首コリ)への処方
通常であれば、上記の4処方が、不妊治療に必須となります。
しかし、クリニックにて”凍結胚移植”を平行されるため、”卵管狭窄を改善させる(C証)”は、不要として漢方治療を開始しました。
・・・1ヵ月後 (漢方治療の開始から 2週間で月経再開)
月経痛: 軽度 (改善中)
首コリ: 軽度 (改善中)
今までに経験していた激しい月経痛は、非常に軽くなり、鎮痛剤は不要となる。
・・・10ヵ月後
出産
凍結胚移植の後、スムーズに妊娠・出産したことを、後に御本人から報告を受けました。
とても円滑に治療が進み、嬉しい限りです。