五十肩 (肩~腕への激痛)

平成18年6月 初来局。

50歳代の御婦人である。

平成18年3月より、右肩が痛みはじめ 次第に腕の挙上が困難となる。

最初の病院では、「五十肩(ごじゅうかた)ですね」と言われ、
別の病院にて、X線検査をされて頸椎異常も指摘されたそうである。

痛み止めのボルタレン(内服)では痛みは一向に治まらないと申された。

箸を持つ手も上げられず、食事はおろか洗髪も難儀されておられた。
そのため、1週間前から休職し 困り果てて漢方治療を依頼された。

肩の激痛に耐える御婦人の目に涙が浮かんでいる。
そのお姿から 症状の深刻さが伺えた。

一通りの問診の後、痛みの愁訴部(肩~腕)を 糸練功(しれんこう)にて解析する。


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
愁訴部(肩~腕)の反応

-0.2合臓腑病膀胱陰証桂枝二越婢一湯加苓朮附湯
0.7合經絡病膀胱陰証芍薬甘草湯

症状
肩~腕の痛み(極めて激しい)
箸の挙上が困難、洗髪も不可


1ヵ月後
愁訴部(肩~腕)の反応

2.0合臓腑病膀胱陰証桂枝二越婢一湯加苓朮附湯
1.8合經絡病膀胱陰証芍薬甘草湯

症状
肩~腕の痛み(軽度)
箸の挙上が可能となり、洗髪も可


5ヵ月後
愁訴部(肩~腕)の反応

8.1合臓腑病膀胱陰証桂枝二越婢一湯加苓朮附湯
6.9合經絡病膀胱陰証芍薬甘草湯

症状
肩~腕の痛み(消失)
箸の挙上、洗髪、ともに何の支障もなし

その後、漢方治療を終了する


結語

五十肩(ごじゅうかた)の痛みは、漢方薬の服用開始から 1週間ほどで急速に軽減するという、順調な経過でした。

肩から腕にかけての痛みは、2ヵ月後にはかなり薄れ、日常生活に支障のないレベルに戻っておられました。

さて、患者さんの五十肩には「桂枝二越婢一湯加苓朮附湯(けいしにえっぴいちとうかりょうじゅつぶとう)」(代用として、コウシンコウ製剤)と、
「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」(代用として、スクアレン製剤外用)
という漢方薬が著効しました。

一見、簡単に漢方薬を選んでいるように感じるかも知れません。
しかし、闇雲に漢方薬を選んでも 患者さんは治せません。

漢方薬は 患者さんに適合させて効果を発揮します。
適合しない漢方薬は効きません。
効かせる絶対条件は、適合性を見極めた漢方薬であることです。

如何にして適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を採用しています。

五十肩の患部には、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を識別する技術が糸練功です。

全ての患者さんには、時間をかけて問診し、糸練功による解析をします。
(完全予約制です)

そして、
1.桂枝二越婢一湯加苓朮附湯(けいしにえっぴいちとうかりょうじゅつぶとう)証
2.芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)証
の、2つの検証結果を誘導しました。

・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。

つまり、患者さんの五十肩は「桂枝二越婢一湯加苓朮附湯と、芍薬甘草湯で治る」確証が得られたわけです。

適合処方が解れば、後はまじめに漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力がめざめ、御自身の細胞が自己修復を始めます。

結果的に、患者さんの五十肩が治っている事実は 漢方薬が患者さんへピッタリ適合していることの証明でもあります。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた正確な漢方治療」
それが、漢方治療の命なのです。

糸練功の理論を構築し、御教授いただいた木下順一朗先生へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
桂枝二越婢一湯加苓朮附湯
(代用:コウシンコウ製剤)
散剤12,000円
(税別)
芍薬甘草湯
(代用:スクアレン製剤外用)
カプセル剤7,200円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります