五十肩(肩痛と挙上障害)

右肩に痛みを感じてから半年後、50歳代のご婦人が来局された。

「痛くて、腕が上げられなくて・・・」
病院では、「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)、俗に言う『五十肩』です」と言われたそうである。

挙上障害の程度を確認した・・・。
ほとんど、挙上できず。

着替えも、食事をするのも難儀していると申された。

問診の終、患部(右肩)を 糸練功(しれんこう)にて確認、適合処方を解析した。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)

その解析結果は・・・

● 桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)証
● C接骨木葉製剤(しーせっこつぼくようせいざい)証

の2点が極めて低い合数に確認された。
「○○証」の表現は、○○という漢方処方で治療が成立する病態である。
つまり、御婦人の五十肩(挙上障害)は、桂枝加苓朮附湯、C接骨木葉製剤の2処方により、治療可能であることを意味する。

合数の数値より、自覚されている痛みの程度も察せられる。
かなりの激痛に違いない。

早速、
1)C接骨木葉製剤
2)桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、少量の茯苓末(ぶくりょうまつ)
にて、漢方治療を開始。

7日後
患者さんから電話。
「お箸を上げられるようになりました。」 と、喜びの声。

3ヵ月後
手は、真上まで挙上可能となる。

5ヵ月後
漢方治療を終了する。


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


考察

「五十肩による挙上障害」 への漢方治療による一例です。

漢方薬の服用を始めて 3ヵ月後には 生活に支障のない程度への改善でした。
無理な体勢をしなければ、痛みを感じないレベルです。

ここで、合数と痛みの関係をお教えしましょう。

患者さんの愁訴部(患部)には、必ず経気(けいき)の乱れが生じています。
磁場の乱れといっても良いでしょう。

肩こり等に「ピップ・エレキバン(磁石)」を貼るのは、患部の磁場の乱れを修正させるためです。

糸練功は その経気の乱れを解析する技術です。
その原理は 大村恵昭先生が開発された「バイ・ディジタル O-リングテスト」に似ています。

糸練功は -1.0合 ~ 10.0合の範囲で数値化した合数で経気の乱れ(=治療ポイント)を分類します。
内臓痛や、五十肩といった「痛み」の場合、治療ポイントが極めて低い合数にあれば、症状も激烈です。

● 治療ポイントが 3.0合を下回ると、何らかの症状を自覚しています。
● 1.0合以下なら、強い痛みを感じているはずです。
● 0合以下なら、強烈な痛みです・・・「極めて低い合数」と記しています。

治療ポイント(合数)の解析後、
「その症状が どこの臓腑or經絡の異常が原因なのか」を探ります。

次に、異常のある臓腑(經絡)に配当する「薬の標本」を、患者さんに近づけて異常磁場の変化を観察します。

異常磁場を消失させる処方が適合処方です。

漢方薬は、患者さんに適合しないと効きません。

「患者さんへの適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


治療に要した漢方薬と費用

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
桂枝加苓朮附湯散薬11,000円
(税別)
C接骨木葉製剤散薬12,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります