慢性湿疹(頑固な足の痒み)

50歳代、男性。

平成20年6月 初来局。

数年前より、足の内側に変色を伴う痒みが現われ、皮膚科で外用薬が処方されている。
塗り薬をつけている間は 痒みはやわらぐ。
しかし 塗り忘れると 途端に痒みがぶりかえす。

「漢方薬で根本治療を・・・」と、漢方治療の依頼だった。

患部には赤みがあり、湿潤(ジュクジュク)し、痒みが強い。

問診の後、患部及び皮膚病の反応穴(はんのうけつ)を、糸練功(しれんこう)にて 確認・解析する。

(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴

0.3合臓腑病陽証H利水製剤
1.6合臓腑病大腸陽証消風散

症状
患部の痒み(強い)、赤み(あり)、湿潤(強い)
風毒塊(真菌の反応穴)にも、1.6合(消風散)の反応あり


1ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴

0.8合臓腑病陽証H利水製剤
2.6合臓腑病大腸陽証消風散

症状
患部の痒み(消失)、赤み(軽度)、湿潤(消失)
風毒塊(真菌の反応穴)に、2.6合(消風散)の反応あり


7ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴

5.6合臓腑病陽証H利水製剤
7.0合臓腑病大腸陽証消風散

症状
患部の痒み(消失)、赤み(消失)、湿潤(消失)
風毒塊(真菌の反応穴)に、7.0合(消風散)の反応あり

現在も、漢方治療を継続中


結語

自覚症状(痒み・発赤・湿潤)は 3ヵ月後に消失しています。
そして今では、完全治癒へ向けての治療を継続中です。

現在では 消風散(しょうふうさん)は不要となり、H利水製剤のみの治療となっています。

さて、今回のケースは 湿疹+皮膚炎と真菌(水虫)が混在していると思われます。
なぜなら、
1)湿疹に多用されるH利水製剤で正常化する治療ポイント
2)水虫に汎用される消風散で異常が消える治療ポイント(消風散証)
の2つが、足の患部と 皮膚病の反応穴から解析されたからです。

また、真菌(水虫)の感染時に反応を示すツボ(風毒塊)と、患部の消風散証が一致していることもその理由です。

ここで述べている 治療ポイントは、「証しょう」といって患者さんの病態に適合する治療法を指します。

通常の治療法は、効きそうな薬を服用(若しくは適用)してもらって、効けば OK!
効果がなければ 次の候補薬を選びますね。

これが、漢方治療の現場ではもっと複雑になります。
なぜなら、漢方薬を患者さんにピッタリ適合させなければなりません。
適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。

どのように適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

皮膚病の場合、患部や一定のツボ(皮膚病の反応穴)に 必ず磁場の乱れ(情報)が生じます。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を誘導する技術が糸練功です。
そして、患者さんへ薬の検体を近づけて、異常磁場への影響を確認します。
薬を服用する以前に、薬の適・不適を判別する方法です。

そして、
1.H利水製剤(Hりすいせいざい)証
2.消風散(しょうふうさん)証
の、適合処方を割り出したのです。

・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気を意味します。

つまり、問診の過程で
「患者さんの皮膚病は、H利水製剤、消風散で治せる確証」
が得られたことになります。

この検証方法は、実に画期的です。
なぜなら、無駄な治療・無駄な時間・無駄な経費が省けるのですから。

適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力がめざめ、患者さん御自身の細胞が、自己修復を始めます。

現実に、患者さんが治っている事実は 漢方薬が適合している証です。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
H利水製剤散薬10,000円
(税別)
消風散散薬10,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります