(嘔吐・目のくらみを伴う)偏頭痛
30歳代、女性。
平成16年3月、初来局。
平成15年の夏頃より、偏頭痛が頻繁に現われ始めたという。
その痛みは強烈で、頭痛が甚だしいと悪心・嘔吐を伴う。
また、光に敏感で、まぶしさによっても偏頭痛が誘発されるため、「サングラスは必需品」であるらしい。
日々、ストレスを強く自覚するらしく 表情は曇りがちである。
問診の後、愁訴部(頭部)を 糸練功(しれんこう)にて解析する。
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
治療経過
0ヵ月後
愁訴部(頭部)の反応
0合 | 臓腑病 | 心 | 陽証 | 加味逍遙散 |
0.2合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 桂枝人参湯 |
症状
偏頭痛(激しい)、吐き気(強い)、嘔吐(あり)
偏頭痛により嘔吐が誘発
1ヵ月後
愁訴部(頭部)の反応
1.3合 | 臓腑病 | 心 | 陽証 | 加味逍遙散 |
1.6合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 桂枝人参湯 |
症状
偏頭痛(軽度)、吐き気(軽度)、嘔吐(なし)
偏頭痛の減少に伴い、嘔吐は消失
6ヵ月後
愁訴部(頭部)の反応
6.4合 | 臓腑病 | 心 | 陽証 | 加味逍遙散 |
7.3合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 桂枝人参湯 |
症状
偏頭痛(完全消失)、吐き気(消失)、嘔吐(消失)
偏頭痛・吐き気・嘔吐は、3ヵ月後に消失
その後、自ら漢方治療を終了した模様
結語
症状を感じなくなったので、治療途中で服用を止めたのでしょう。
偏頭痛の治療段階では、糸練功の合数(ごうすう)が 5.0合を超えると、痛みも、吐き気も感じなくなります。
「治った」と錯覚する段階です。
しかし、当方が漢方治療の終了を告げるのは 10.0合 で安定した段階です。
それまでは、完全治癒への道半ばの段階です。
途中で服用を止めてしまうと、再発のリスクを負うことになるのです。
さて、このケースの偏頭痛には 「酷い時には嘔吐する頭痛」である特徴があります。
漢方に詳しい方は、「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)証」を連想すると思います。
しかし、この方は呉茱萸湯証ではありませんでした。
呉茱萸湯が効かない偏頭痛なのです。
漢方薬は患者さんに適合して 始めて効果を現します。
適合しない漢方薬は効きません。
効かせる絶対条件は、適合性を見極めた漢方薬であることです。
如何にして適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を採用しています。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
偏頭痛の場合、患部には 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を確認する技術が糸練功です。
(新規の患者さんには、約60分の時間をかけて解析します)
すると、
1.加味逍遙散(かみしょうようさん)証
2.桂枝人参湯(けいしにんじんとう)証
の、2つの適応症を確認しました。
・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。
つまり、服薬の前に、患者さんの偏頭痛は「加味逍遙散と、桂枝人参湯で治る偏頭痛」である確証が得られたわけです。
適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけです・・・。
自然治癒力がめざめ、患者さんご自身の細胞が自己修復を始めます。
現実に、患者さんの症状(偏頭痛)が消失したことは、漢方薬が病態にピッタリ適合していることの証明です。
「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた 正確な漢方治療」
糸練功は、そのための技術なのです。
糸練功の理論を構築し、御教授いただいた木下順一朗先生へ感謝の念に堪えません。
必要となった漢方薬の料金
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
加味逍遙散 | 散薬 | 12,000円(税別) |
桂枝人参湯 | 散薬 | 12,000円(税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります