関節腫脹・関節痛(関節の腫れ・痛み) 70歳代 女性

平成20年11月 初来局。

平成20年 2月に右肩が腫れ、次第に右手首も赤く腫脹した。
腫れた患部の痛みは激烈で、炊事・洗濯をはじめとする日常生活に支障をきたす。

また、右股関節の付け根の痛みもあり、正座ができない状態も続いておられた。

症状は、関節リウマチに酷似するも、リウマチは左右対称に発症することが多い。
現に、御婦人の患部は右側のみである。

病院で検査をしてもらうが、リウマチ反応は陰性。
レントゲンにも異常は見当たらないと言われる・・・。

鎮痛・抗炎症剤(ロキソニン内服と外用)が処方されるも、関節の腫脹・痛みは治まらず、「指に力が入らない」と涙ながらに申された。

ひととおりの問診の後、愁訴部(患部)を 糸練功(しれんこう)にて確認し、適合処方を解析した。


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
愁訴部(肩・手首)の反応

-0.9合臓腑病陰証桂枝加朮附湯
-0.1合臓腑病陰証露蜂房製剤

症状
関節の腫脹(激しい)、関節の痛み(激しい)
発赤・痛みは激しく、手に力が入らず。 痛みによる睡眠障害あり。


1ヵ月後
愁訴部(肩・手首)の反応

0.3合臓腑病陰証桂枝加朮附湯
0.5合臓腑病陰証露蜂房製剤

症状
関節の腫脹(減少)、関節の痛み(減少)
発赤・痛みは減少し、手指の屈曲が可能となる。睡眠障害は消失。


4ヵ月後
愁訴部(肩・手首)の反応

2.6合臓腑病陰証桂枝加朮附湯
4.7合臓腑病陰証露蜂房製剤

症状
関節の腫脹(軽度)、関節の痛み(軽度)
発赤・痛みは軽く、手指には力が入る。
シップの貼り忘れが多くなり、炊事・洗濯は問題なし。

15ヶ月後、漢方治療を終了する


結語

当初は、関節の腫れは酷く、痛みの程度が察せられました。
手指に力が入らず、手掌を広げることもお辛そうだった光景を思い出します。

患者さんの関節の腫れ・痛みは、病院で検査をされても、RA因子(リウマチ因子)は陰性でした。
患部も、左右の対称性はなく 関節リウマチ(Rheumatoid arthritis, RA)と診断されなかったのでしょう。
RA因子の陰性は幸いですが、RA因子陰性でも関節リウマチを患っておられる方もおられます。
また、その逆のケースもあって、安易に関節リウマチと診断しない病院は多いようです。

なにはともあれ、お辛い腫れと痛みから解放されて嬉しいです。

さて、この掲載を見て「漢方治療は簡単」と思うかも知れません。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。

漢方薬は 患者さんに合わせて効かせるものです。
適合しない漢方薬は、何の効きめもありません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。

適合性の見極め方・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。
関節が腫れ、痛む患部には 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
それは、関節リウマチ(RA)のケースも同じです。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を誘導する技術が糸練功です。

薬を服用する以前に、薬の適・不適を識別する方法です。
患者さんの臓腑・經絡の状態を分析し、薬の検体を生体へ近づけて、磁場の変化を解析します。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

その解析結果は、
1.桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)証
2.露蜂房製剤(ろほうぼうせいざい)証
でした。

・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気を意味します。

つまり、相談の段階で「患者さんの関節痛は、桂枝加朮附湯 と 露蜂房製剤で治せる確証」が得られたわけです。

この方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が判ります。
ですから、無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代が省けます。

適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力が目覚め、患者さんご自身の細胞が自己修復を始めます。

現実に、患者さんが治っている事実は 漢方薬が適合している証です。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
桂枝加朮附湯散剤12,000円
(税別)
露蜂房製剤散剤12,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります