月経痛と月経不順(月経前のにきびを伴う)20歳代 女性

平成20年12月 来局。

高校生時代、過敏性大腸症候群の漢方治療を依頼されたお嬢様。
すでに、過敏性大腸症候群は完治されている。

今回は 月経痛と月経不順の漢方治療を望まれていた。

基礎体温表を拝見するかぎり、高温期・低温期の識別は可能である。
しかし、月経周期はバラバラ、月経が2ヶ月以上ないことも珍しくはない。

生理前には、 口の周りに 赤い米粒大のニキビがよく出没した。
そして、生理が始まると 初日より 激しい生理痛(下腹部の痛み)にみまわれ、とても仕事ができる状態ではないとのこと。

ひととおりの問診の後に、女性ホルモン及び月経痛の反応穴(はんのうけつ)を 糸練功(しれんこう)にて確認し、適合処方を解析した。

(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
女性ホルモン・月経痛の反応穴

0.6合臓腑病陽証温経湯
1.4合臓腑病大腸陽証トウサンカ製剤加ヨクイニン

症状
月経痛(強い)、月経周期(不定)
月経痛は甚だしく、鎮痛剤は無効


3ヵ月後
女性ホルモン・月経痛の反応穴

3.3合臓腑病陽証温経湯
4.0合臓腑病大腸陽証トウサンカ製剤加ヨクイニン

症状
月経痛(軽度)、月経周期(安定)
月経痛は下腹部の違和感程度、月経周期は30日となり、月経前のニキビも減少。


10ヵ月後
女性ホルモン・月経痛の反応穴

8.0合臓腑病陽証温経湯
6.7合臓腑病大腸陽証トウサンカ製剤加ヨクイニン

症状
月経痛(消失)、月経周期(安定)
月経痛は完全消失、月経周期は30日(安定)、月経前のニキビも消失。
13ヶ月後、漢方治療を終了する


結語

月経周期は30日に安定化、生理痛も完全消失に至りました。

基礎体温も、綺麗な二相性になっています。

当初、生理前のニキビは治療対象外でしたが、ホルモン・バランスが整ったおかげで、肌の状態も良好です。
もちろん、食養生のアドバイスがまじめに実践された成果でもあります。

さて、この掲載を見て「漢方治療は簡単」と思われるかも知れません。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。

漢方薬は 患者さんに合わせて効かせるものです。
適合しない漢方薬は、何の効きめもありません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。

適合性の見極め方・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。

月経不順・月経痛の場合、身体の特定なツボ(反応穴)に、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、検証する技術が糸練功です。
薬を服用しなくとも、薬の適・不適を識別できる方法です。

患者さんの臓腑・經絡の状態を分析し、薬の検体を生体へ近づけて磁場の変化を解析します。
この方法は、新規の患者さんには 60分ほどの時間を要します。
(ですから、当薬局は完全予約制です)

そして、
1.温経湯(うんけいとう)証
2.トウサンカ製剤加ヨクイニン(とうさんかせいざいかよくいにん)証
の、検証結果を導いたのです。

・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。

つまり、相談の過程で「患者さんの症状は、温経湯 と トウサンカ製剤加ヨクイニンで治せる確証」が得られたわけです。

この検証方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が判ります。
ですから、無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代が省けるのです。

適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力が目覚め、患者さんの中で自己修復が始まります。

また、現実に患者さんが治っている事実は、漢方薬の適合性を証明しています。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
トウサンカ製剤加ヨクイニン錠剤+散剤6,660円
(税別)
温経湯散剤12,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります