変形性股関節症と腰痛
30歳代、女性。
平成18年4月 初来局。
幼少時に 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)を発症される。
手術療法により、当時の痛みは治まった。
しかし、平成8年頃より右股関節と腰(仙骨付近)の痛みを感じ始める。
次第に痛みは憎悪し、平成17年には耐え難い激痛となる。
特に、雨天の前日に腰痛は激化。
その痛みのために、眠れない夜(睡眠障害)も度々あるそうである。
整形外科より鎮痛剤(坐薬)を処方されてはいるが、鎮痛効果は、さほど感じられないとのこと。
既往症として、卵巣のう腫(治療はせずに経過観察中)。
問診の後、痛みを訴える部位(仙骨・右股関節)を、糸練功(しれんこう)にて解析する。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
治療経過
0ヵ月後
愁訴部(仙骨・右股関節)の反応
0合 | 臓腑病 | 肺 | 陰証 | コウシンコウ・露蜂房製剤 |
3.0合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
股関節の痛み(激しい)、腰痛(激しい)
痛みによる、睡眠障害あり
2ヵ月後
愁訴部(仙骨・右股関節)の反応
1.8合 | 臓腑病 | 肺 | 陰証 | コウシンコウ・露蜂房製剤 |
4.0合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
股関節の痛み(軽度)、腰痛(軽度)
痛みによる、睡眠障害なし
婦人科の検査にて → 卵巣膿腫が消失
4ヵ月後
愁訴部(仙骨・右股関節)の反応
4.6合 | 臓腑病 | 肺 | 陰証 | コウシンコウ・露蜂房製剤 |
5.6合 | 臓腑病 | 脾 | 陰証 | 当帰建中湯 |
症状
股関節の痛み(消失)、腰痛(消失)
股関節・腰部の痛みは、ともに消失
その後、妊娠のため 自ら漢方治療を終了した模様
結語
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)は、関節軟骨の変性や摩耗によって、様々な関節変化をきたします。
動くにも、歩行するにも痛く、日常生活への負担も大きくなります。
本症例は、変形性股関節症の手術後に、再発された方の改善例です。
まず最初に、
漢方薬は患者さんに適合して、効果を発揮します。
適合しなければ、全く効きません。
効かせる漢方治療の絶対条件は、「適合性の見極め」にあります。
「変形性股関節症」という病名は、単なる参考情報にすぎません。
患者さん一人ひとりの病態は、みな個性があるのです。
如何にして適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。
変形性股関節症の患部には、必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を判断する技術が糸練功です。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
そして、患部の解析結果は、
1.コウシンコウ・露蜂房製剤(こうしんこう・ろほうぼうせいざい)証
2.当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)証
の、2つの適応でした。
・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気を意味します。
つまり、コウシンコウ・露蜂房製剤と、
当帰建中湯で治る 「変形性股関節症」(腰痛・股関節痛)であることを確認したわけです。
適合処方が解れば、黙々と漢方薬を服用するだけ・・・。
自然治癒力がめざめ、患者さんご自身の細胞が自己修復を始めます。
現実に、変形性股関節症による腰痛と股関節痛が軽減・消失したことは、患者さんと、漢方薬の適合性を証明しています。
「適合性を見抜き、正確な漢方治療を実践する」
それが、糸練功の応用で可能になります。
また、当初の治療目標にはありませんが、患者さんの「卵巣のう腫」も、漢方薬を服用して 1ヵ月後 に 消失しています。
この嬉しい誤算は、「コウシンコウ・露蜂房製剤」の成分である露蜂房による作用です。
糸練功の理論を構築し、御教授いただいた木下順一朗先生へ感謝の念に堪えません。
必要となった漢方薬の料金
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
コウシンコウ・露蜂房製剤 | 散剤 | 12,000円 (税別) |
当帰建中湯 | 煎じ藥 | 14,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります