アトピー性皮膚炎(全身の激しいかゆみ)
10歳代、男性。
平成17年7月 初来局。
幼少の頃に アトピー性皮膚炎を発症し、長年、全身の激しいかゆみに悩まれている10歳代後半の患者さん。
湿潤はさほど目だたないが、掻き続けているため、全身が赤く腫れあがっている。
ご両親は 良いと言われる病院・医院を聞き回り、何年も送迎を繰り返されたそうである。
しかし、思うように症状は改善されず、疲れ果てた御様子だった。
問診の後、最も症状が著しい患部と、皮膚病の反応穴(はんのうけつ)を 糸練功(しれんこう)にて確認・分析した。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
治療経過
0ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴の情報
0合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 消風散証 |
症状
全身の痒み(激しい)、患部の赤み(強い)
痒みが激しく、全身に掻き傷が多い
1ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴の情報
1.5合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 消風散証 |
症状
全身の痒み(軽度)、患部の赤み(軽度)
服用開始後 2週間後より、痒みは軽減する
12ヵ月後
患部、皮膚病の反応穴の情報
5.0合 | 臓腑病 | 大腸 | 陽証 | 消風散証 |
症状
全身の痒み(消失)、患部の赤み(消失)
服用開始後 3.0ヶ月後には、痒みは殆ど消失
26ヶ月後、漢方治療を終了
結語
アトピー性皮膚炎の治療に際しては、食養生が大きく影響します。
もち米、白砂糖、油の摂取制限は必須です。
また、本症例はとても幸運なケースです。
幼少時にアトピー性皮膚炎を発症され、経年を重ねた多くの方には、複数の治療ポイントが見つかります。
そのことは、2種類以上の漢方薬を要することを意味します。
一日あたりの服用回数も増えますし、薬代もかさみます。
10年以上も経過したアトピー性皮膚炎が、1つの漢方処方だけで治せるケースは珍しいのです。
さて、ここでのアトピー性皮膚炎には、「消風散(しょうふうさん)」という 漢方薬が著効しています。
一見、簡単な漢方治療と感じる方もおられるでしょう・・・。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。
通常の医療現場では、効きそうな薬を 一定期間患者さんに服用してもらって効けば OK!
効かなかったら、別の候補薬を選びますね。
これが、漢方治療ではもっと複雑になります。
なぜなら、患者さんに 適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。
どのように適合性を見極めるか・・・その方法として、糸練功(しれんこう)という技術が大きく役立っています。
アトピー性皮膚炎のケースでは、患部や一定のツボ(反応穴)に 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、検証する技術が糸練功です。
薬を服用せずに、薬の適・不適を識別する方法です。
患者さんの臓腑・經絡の状態を分析し、薬の検体を生体へ近づけて、異常磁場の変化を測定します。
そして、消風散(しょうふうさん)証 の、検証結果を割り出しました。
・・・証(しょう)とは、・・・の漢方薬が適応する病態を示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。
つまり、相談の過程で「患者さんのアトピー性皮膚炎は、消風散で治せる確証」が得られたわけです。
(解析には時間がかかりますので、完全予約制です)
この検証方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が解ります。
無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代が省けるのです。
適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
患者さんの自然治癒力がめざめ、自己修復が始まります。
「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。
糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。
必要となった漢方薬の料金
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
消風散 (しょうふうさん) | 煎じ薬 | 16,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります