手のこわばりを伴うリウマチ様の関節腫脹 70歳代 女性

平成23年6月 来局。

今年の1月より、「右手首が腫れて痛むようになったきた」と御婦人は申された。
当初は、そのうち治るだろうと思っていたが、痛みは日増しに悪化し、病院から抗炎症剤(内服)とシップを処方してもらう。

リウマチに類似する「朝方の手がこわばり」と、痛みに耐えながらの生活をおくられていた。
が、痛みのために物を持つことすら難儀となってしまわれていた。

発症から5ヵ月後、御主人に付き添われ御婦人は来談された。

右の手首は赤く腫れあがり、僅かの振動が加えられただけでも激痛に顔を歪められた。
もちろん、手首の屈曲は不可能だった。

問診の後、愁訴部(右手首)を 糸練功(しれんこう)にて確認・分析する。


糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します


治療経過

0ヵ月後
愁訴部(右手首)の反応

-0.1合臓腑病陽証麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤
1.1合臓腑病膀胱陽証桂枝一越婢二湯

症状
右手首の腫脹・痛み(激しい)、手のこわばり(朝に強い)
手首の腫れ・痛みによる睡眠障害あり


1ヵ月後
愁訴部(右手首)の反応

1.3合臓腑病陽証麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤
2.4合臓腑病膀胱陽証桂枝一越婢二湯

症状
右手首の腫脹・痛み(軽度)、手のこわばり(消失)
手首の腫れ・痛みは軽減し、睡眠障害なし
現在も、漢方治療を継続中


結語

漢方治療の開始は 平成23年6月。
ですが、その1ヶ月前に御婦人の様子は拝見しております。

御主人が重度の痔核を患われ、その漢方相談に付き添われていたのです。
その時も、右手はかなりお辛い御様子でした。
が、奥様は漢方治療を希望されませんでした。

当薬局の漢方薬は、保険が適用されません。
そのことが理由です。
1ヶ月に、3万円前後の予算が必要です。
当然のことだと思います。

それを察した御主人が、彼女の背中を押してくれたお陰の御依頼でした。

治療経過は、すこぶる順調です。
漢方薬の服用を始めて、1ヵ月後には 右手首の腫れ・痛みともに日常生活ができるまでに軽減しています。
発症から一年以内であったことも、回復スピードに大きく影響しています。

さて、御婦人の手首の腫れ・痛みには、
1)「麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤(まきょうよくかんとうごうRせいひせいざい)」
2)「桂枝一越婢二湯(けいしいちえっぴにとう)」
という 2種類の漢方薬が選択されています。

一見、簡単な漢方治療と感じる方もおられるでしょう・・・。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。

通常の医療現場では、効きそうな薬を 実際に服用してもらって効けば継続。
効かなかったら、異なる次の候補薬を選びますね。

これが、漢方の世界ではもっと複雑です。
なぜなら、漢方薬は患者さんにピッタリ適合させることが原則です。
適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことなのです。

どのように適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。

本症例では、患部(右手首)に 必ず磁場の乱れ(情報)が生じています。
その情報を漢方的に分析し、適合処方を誘導する技術が糸練功です。

薬を服用せずに、薬の適・不適を識別する方法です。
患者さんの臓腑・經絡を分析し、最終的に 薬の検体を生体へ近づけて、異常磁場の変化を測定します。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)

そして、
1.麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤(まきょうよくかんとうごうRせいひせいざい)証
2.桂枝一越婢二湯(けいしいちえっぴにとう)証
という、適合処方を誘導したのです。

・・・証(しょう)とは、
・・・の漢方薬が適応する治療ポイントを示します。
・・・の漢方薬で治せるお病気のことです。

つまり、相談の段階で「患者さんの関節腫脹は、麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤、桂枝一越婢二湯で治せる確証」が得られたことになります。

この検証方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が察知できます。
無駄な治療・無駄な時間・無駄な薬代が省けるのです。

適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
眠っていた自然治癒力がめざめ、患者さん御自身の中で自己修復が始まります。

現実に、患者さんが治っている事実は 漢方薬が適合していることの証明でもあります。

「患者さんと漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。

糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。


必要となった漢方薬の料金

漢方薬漢方薬の種類料金(30日分)
麻杏ヨク甘湯合R青皮製剤散剤15,800円
(税別)
桂枝一越婢二湯散剤11,000円
(税別)

※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります