変形性膝関節症(関節腫脹・膝痛・歩行困難)
病院で「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」と診断された男性である。
発症は2年前。
両膝関節は腫脹し、「痛くて、あぐらもかけない」と嘆かれた。
病院にて、「膝から水を抜く」処置を受けるも、症状は一進一退であるらしい。
痛みは膝関節前面に強く、階段の昇降(特に降りる時の痛み)が辛い。
歩く姿はゆっくりと、膝をかばっておられた。
問診の後、患部を糸練功(しれんこう)にて確認し、適合処方を解析する。
(糸練功の詳細は、著者の論文「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
解析結果は、以下のとおりである。
● 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)証
● F曲參製剤+Bミネラル製剤証
2つの証が、治療を要する低い合数に確認された。
「○○証」の表現は、○○という漢方処方で治療が成立する病態である。
早速、越婢加朮湯、F曲參製剤+Bミネラル製剤の服用時刻を設定し、服用を開始。
1ヵ月後
患者さんの歩行はスムーズだった。
「もう、水を抜きにいってません。痛みも楽です」
と嬉しそうだった。
患部を確認すると、越婢加朮湯証は、0.7合の上昇。
F曲參製剤+Bミネラル製剤証は、0.8合の上昇。
確実に治癒へ向かっている。
3ヵ月後
「あぐらをかける」状態にまで改善。
6ヵ月後
漢方治療を終了する。
糸練功の指標(合数)
合数の数値は、-1.0~10.0 の範囲で表わされ、
病態の要因である“異常ポイント”を意味します。
※症状が重いほど合数は低く改善と共に上昇します
考察
「変形性膝関節症」 の漢方治療による一例です。
通常、変形性膝関節症は、50歳以降の女性に多くみられるお病気です。
女性と男性では、漢方治療の仕方が若干異なるように感じます。
閉経後の女性の場合。
「骨粗鬆症を背景にした、変形性膝関節症」を、頻繁に見かけます。
そして、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)を基本とした適用例が多いです。
さて、一見して、漢方治療は簡単だと思われるやもしれません。
ですが、我々は闇雲に漢方薬を選んでいません。
漢方薬は、患者さんに適合して効果を発揮します。
適合しない漢方薬は、全く効きません。
漢方治療の命は、患者さんと薬の適合性を見抜くことです。
どのように適合性を見極めるか・・・
その方法として、当薬局は 糸練功(しれんこう)という技術を応用しています。
服薬前に、薬の適・不適を識別する方法です。
患者さんの臓腑・經絡の状態を分析し、薬の検体を近づけて適合性を解析します。
(糸練功の詳細は、論文「糸練功に関する学会報告」をどうぞ)
この方法は、実に画期的です。
なぜなら、薬を服用する以前に有効な漢方薬が判ります。
適合処方が解れば、後は漢方薬を服用するだけ・・・。
漢方薬が自然治癒力を目覚めさせ、患者さん御自身の細胞が自己修復を始めます。
現実に、患者さんが治っている事実は、漢方薬の適合性の証明でもあります。
「患者さんと、漢方薬の適合性を見極めた漢方治療」
糸練功は、それを実践するための技術です。
糸練功の理論を構築され、御教授いただいた 木下順一朗先生(福岡県・太陽堂漢薬局)へ感謝の念に堪えません。
治療に要した漢方薬と費用
漢方薬 | 漢方薬の種類 | 料金(30日分) |
越婢加朮湯 | 散薬 | 9,000円 (税別) |
F曲參製剤+Bミネラル製剤 | 散薬 | 22,000円 (税別) |
※ 適合する漢方処方は、個々の患者様により異なります