40歳代後半 男性
平素から腰痛にお悩みの男性である。
3年前と、2年前、ぎっくり腰を繰り返し発症しておられる。
2回目のぎっくり腰に苦しんで以降、慢性的な腰痛に、臀部痛(左)~膝痛(左)が続発。
腰の患部は、1番腰椎の左側・・・。
また、左膝には痛みの他に、知覚異常(しびれ)を伴っており、両下肢には軽度な浮腫(むくみ)が認められた。
問診の後、糸練功(しれんこう)の技法を用いて病態と適合処方を解析。
(糸練功の技術的な要項は、「糸練功に関する学会報告」を参照されたい)
解析結果は、以下のとおりである。
A証) 越婢加朮湯証 (陽証)
B証) 桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子証 (陰証)
C証) 芍薬甘草湯証 (陰証)
この解析結果は、患者さんの腰痛は、上記の3種の病態(証)から構成されていることを示している。
従って、越婢加朮湯、桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子、芍薬甘草湯の3処方の服用によって治療が成立する。
A証) 越婢加朮湯証 (陽証)は、発症してから慢性化していない急性の骨損傷への適応である。
B証) 桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子証 (陰証)は、すでに慢性化した骨損傷の適応であり、膝の知覚異常(しびれ)の本体と推測される。
C証) 芍薬甘草湯証 (陰証)は、筋肉の痙縮(けいしゆく)への適応と考えられる。
ここで、桂枝二越婢一湯加茯苓蒼朮附子の成分である附子の副作用を回避するため、代用処方(Bコウシンコウ製剤+K牡蠣製剤)を適用。
同様に、芍薬甘草湯の長期服用による低カリウム血症を避けるため、代用処方(N・スクアレン製剤の外用)を適用した。
早速、その日から漢方薬の服用を開始していただいた。
そして、3ヵ月後・・・
膝の知覚異常(しびれ)は消失。
腰痛・臀部痛・膝痛は、ほぼ消失。
現在も、漢方治療を継続中。